2009年06月26日

喪服のドレスコード(葬儀の着物と法事の着物)

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和装の場合にはお通夜、告別式、法事などでは黒喪服または色喪服を着ることになります。

ふつう「喪服」といえば真っ黒な紋付きのものを想像される方が大半だと思います。
それが「黒喪服」です。ところが、和服において黒が喪を表す色になった歴史は意外と浅く、「精神文化的にみれば喪服は白が正しい」といえば驚かれるかもしれません。

実際に古代から江戸時代に至るまでは喪服と言えば白でした。

(平安時代〜室町時代の前だけは宮中や貴族に限って言うと墨色と法律で規定されていましたが貴族以外はずっと白です)また、そもそも長い歴史をみれば喪服は遺族や近親者のみが着る物でした。明治時代から始まった欧化政策の影響で、大正のはじめにまず宮中に参内する人々の喪服が黒と定められるようになりましたが、それが一般庶民にまで拡大するのはほとんど戦後になってからです。どちらの場合も、戦争による犠牲者が増えて葬儀に参列することが多くなり汚れが目立ちやすい白が嫌われたという実用的な理由と、西欧文化への迎合の結果として黒い喪服を着るようになったわけですが、現在ではすっかりそれが定着しました。

そのため今でも地方によっては白い喪服を着る所がありますし、伝統芸能に携わる家などでは昔のしきたりを守って白い喪服を着ておられる所もあるようです。
とはいえ、今現在は一般的には「お葬式では黒喪服」ということでおおむね間違いはないでしょう。
洋装なら皆さん黒ですし、本来は近親者だけのものであった通夜も告別式の代わりに参列される方が多いので、服装には区別がなくなって黒一色になりました。


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『京都宇治市 三室戸寺 あじさい』


お通夜で親族以遠の関係の方でしたら色喪服に黒喪帯(黒共帯)の組み合わせで略式の喪服として着て行けます。

通夜への参列には「とるものもとりあえず駆け付けた」という意味合いがありますので、洋服と同じく家族以外なら黒に比べて略式の色喪服でも、地味なものなら喪服以外でも構わないということです。逆に「不幸があるのを予見してた」と見られないために色喪服を着るという考え方もあります。現在では殆どの方が洋装の喪服で参列されますので、この考え方でいけば、故人との関係がそんなに深いわけではないのに着物で、しかも正装の黒喪服で参列するとその場の雰囲気の中で浮いてしまったり時にはあらぬ誤解を招く元にもなりかねません。葬儀、告別式においては色喪服に黒喪帯も可能ですが、少なくとも親族のかたなら黒喪服を着られたほうが無難でしょう。参列者の方で黒喪服を着用されるかたもいらっしゃるでしょうから。

そして喪が薄くなるに従って色喪服へと移って行きます。

「喪が薄くなる」とは個人との関係の強さと亡くなってからの時間という二つの尺度で故人との距離が開くということです。例えば人間関係でいえば 喪主/家族→親族→親しい友人→ご近所や仕事上での付き合いという風に関係が薄くなります。時間の場合は 葬儀、告別式→一周忌→三回忌→七回忌と進むに従って「薄く」なります。一周忌が明けてからの年忌法要(法事)では基本的に回忌が進むに従って喪が薄くなるのでそれに合わせて喪服も略式になっていきます。目安としては喪主/家族の方なら七回忌以降、親族の方なら一周忌以降は色喪服に移ります。通常は七回忌が終わってから、一般に「弔い上げ」となる三十三回忌の前までの年忌法要はごく近い親族のかただけでひっそりと行われることになり、着物や帯、小物などの色も比較的薄くて明るめのものに変わっていきます。三十三回忌(場合によっては五十回忌)は「弔い上げ」つまりは年忌法要の終了を意味する大事な区切りの行事ですので、施主の家族や親族のかたは正式な喪服(黒)または色喪服を着られるのが無難でしょう。弔い上げは広く参列者を募って立派にされることが多いので、仮に「平服でけっこうです」と通知を出したとしても、万が一にでも施主側の人間が一般の出席者の方よりも略式の装いになってしまっては失礼になるからです。

なお、弔事や仏事での服装の決まりごとは前述のように地方や家によって異なりますので、上に書いた内容はあくまで一例としてご参考になさって下さい。

着物姿は洋服よりも品格が上がりますので故人への敬意を表すためにもぜひ着ていただきたいのですが、和装ではなくあえて洋装にすべき場合もあります。例えば施主側の家族でお茶出しや配膳などの法事のお手伝いをされる方は、よほど着慣れていない限りは動きやすさを優先して着物ではなく洋服で出席されたほうが良いかも知れません。

着物と着物の作法は伝統ある日本文化の結晶の一つです。
ですから、着用に際しては日本の精神文化特有の「和を乱さない」ということを常に念頭において「空気を読む」ことが肝要です。特に弔事や仏事においては個人の趣味嗜好よりも儀式における「空気」を優先させて下さい。最終的には施主や親族の年長者のご意向を尊重されるのをお勧めします。




posted by 店長 at 23:00| Comment(0) | ぺこら堂 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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